
毎年、中国大陸から偏西風に乗って日本に飛来する黄砂。車のボディが黄色く汚れるだけでなく、塗装面に深刻なダメージを与える可能性があることをご存知でしょうか。この記事では、黄砂が車に与える影響や正しい洗車方法、適切なカーシャンプーの選び方まで、自動車のプロフェッショナルの視点から詳しく解説します。
10秒でわかるこの記事の要約
✓黄砂は直径4μmの硬い鉱物粒子で、乾いた状態で拭くと塗装面に傷をつけ、雨で固着するとシミや化学的ダメージの原因になる。
✓洗車は高圧洗浄で黄砂を完全除去してから、泡立ちの良い濃縮カーシャンプーでやさしく洗い、乾く前に素早くすすぐのが基本。
✓ガラスコーティング施工や週1回の洗車習慣で予防し、雨が降る前または降った直後の早めの洗車が塗装面を守る鍵となる。
黄砂とは何か?その正体と飛来のメカニズム
黄砂とは、中国やモンゴルなどの砂漠地帯で発生した砂嵐によって巻き上げられた土壌や鉱物の微粒子が、偏西風に乗って日本まで運ばれてくる現象です。英語では”Yellow sand”や”Asian dust”と呼ばれますが、最近ではKosaでも通じるようになっています。大気汚染物質のPM2.5と並び、健康への影響も指摘されている物質です。
黄砂の特徴
日本に到達する黄砂の粒子は直径約4μm(0.004mm)程度で、シリカ(石英)や長石などの鉱物を含んでおり、粒子は硬く角張っているのが特徴です。この微細かつ硬質な粒子が、車の塗装面に様々な問題を引き起こします。
飛来時期と影響地域
黄砂は主に2月から5月にかけて飛来し、ピークは4月です。特に西日本や日本海側で多く観測されますが、風向きによっては東日本でも被害が発生します。しかし、近年では大陸の森林減少や土地の劣化、工業化による砂漠化、気候の変化などにより、飛来量が増加し、時期も変化してきているとの指摘もあります。
黄砂が車の塗装面に与える3つの深刻な影響
健康被害も引き起こす黄砂ですが、車への影響もあるやっかいな物質です。
1. 塗装面への物理的なキズ
黄砂の主成分は石英や長石などの硬い石で、塗装面に付着するとスクラッチキズをつけダメージを与えることがあります。
特にボディやガラスが乾いた状態でタオルを使ってこすると、紙やすりをかけたのと同じことになり、塗装面やガラス面に細かい傷をたくさんつけてしまう可能性があります。
2. 雨によるこびりつきと固着
黄砂は雲母や緑泥石などの粘土鉱物も含んでおり、一度車の表面に付着すると、その粘着性によって水をかけただけでははがれにくくなる特性を持っています。黄砂が雨に当たると固まってしまい、そのまま数週間も放置すると、車の塗装面にシミや縮みが発生することもあります。
3. シミと化学的なダメージ
黄砂はカルシウムの含有率が高く、放置し続けると塗装面にシミができてしまう問題があります。黄砂が付着し、さらに直射日光にさらされたり雨で濡れたりしたまま長期間放置した場合、塗装面やガラス面にしっかりと固着してしまい、取り除くのが難しくなるのです。
黄砂時期の正しい洗車方法:5つのステップ
黄砂が付着した車を洗う際には、通常の洗車以上に慎重な手順が必要です。
ステップ1:高圧洗浄で黄砂を完全に除去
最も重要なのは、スポンジやクロスでボディに触れる前に、黄砂を完全に洗い流すことです。
車に付着している黄砂を高圧洗浄機を使用して水圧で流し、黄砂が落ちていない状態で洗車を行ってしまうと、車にキズがつくリスクが高まるため、この工程は絶対に省略できません。
高圧洗浄機がない場合は、ホースに散水ノズルを装着し、できるだけ高い水圧で丁寧に洗い流しましょう。ボディ全体はもちろん、ドアのすき間やグリル周り、ホイールハウスなど、黄砂が溜まりやすい箇所も念入りに水をかけてください。
ステップ2:泡立ちのいいカーシャンプーでやさしく洗浄
黄砂時期は水洗いだけではNG。水洗い洗車はスポンジが直に塗装面に当たり摩耗が激しくなるため、カーシャンプーを使用して塗装面に加わる摩擦を減らしながら洗車を行う必要があります。泡立ちのいいカーシャンプーを十分に泡立て、スポンジとボディの間に泡のクッションを作ることで、残った微細な黄砂による傷を防ぐことができます。
洗車のポイント:
ステップ3:素早くすすぎ洗い
カーシャンプーを塗布したら、乾燥する前に素早く水で洗い流します。シャンプー成分が乾燥して残ると、それ自体がシミの原因になるためです。高圧洗浄機があれば、すすぎにも活用すると効果的です。
ステップ4:マイクロファイバークロスで拭き上げ
クロスは4つ折りなどにしてクロスに厚みをもたせ、塗装面に力が加わらないようにすることがポイントです。吸水性の高いマイクロファイバークロスを使用し、水滴を優しく拭き取ります。何度もゴシゴシこすらないよう、吸水力のあるクロスを使うことが重要です。
ステップ5:細部の水滴を完全除去
ドアの内側、グリル周り、サイドミラーの付け根など、細かい部分に残った水滴をしっかり拭き取りましょう。細かい箇所の水滴残しがカルキシミの原因となります。
水滴を拭き取るにはマイクロファイバークロスは有効ですが、ブロアーを使って吹き飛ばしてしまうというのもオススメの方法です。
洗車時に絶対にやってはいけないNG行為
NG行為1:黄砂を落とす前に洗車機を使用
黄砂が付着した車をそのまま洗車機で洗うのは、黄砂の粒子をまとった車のボディと洗車機のブラシとのあいだで摩擦を起こし、塗装面に修復困難なダメージを残してしまう危険性があります。
どうしても洗車機を使いたい場合は、必ず事前に高圧洗浄機で黄砂を除去するか、ノンブラシ洗車機を選択してください。
NG行為2:乾いた状態で拭き取り
黄砂を落とす際には、乾いた布やスポンジで直接こすらないこと。黄砂の粒子は硬く、直接こすると塗装面を傷つけるためです。
NG行為3:洗車の放置
黄砂が付着しても2〜3日で悪影響が出ることはないが、雨に当たってしまうと黄砂が固まってしまうため、黄砂を確認したら早めの洗車が必要です。
特に雨が降る前、または雨が降った直後は、できるだけ早く洗車することをおすすめします。
黄砂対策に最適なカーシャンプーの選び方
適切なカーシャンプーを選ぶことで、黄砂による被害を最小限に抑え、効果的に汚れを落とすことができます。
選び方のポイント1:液性で選ぶ
カーシャンプーには、中性、弱アルカリ性、酸性の3タイプがありますが、黄砂対策には中性または弱酸性がおすすめです。
黄砂はアルカリ性となるため、弱酸性のカーシャンプーは黄砂汚れの洗車に最適です。汚れの成分と同じ成分の洗剤を使用することで、効率的に汚れを除去できます。
ただし、通常のメンテナンス洗車では中性タイプが安全です。中性タイプは塗装やコーティングを傷めにくく、どの車にも安心して使用できます。
選び方のポイント2:泡立ちの良さを重視
黄砂時期の洗車は、できるだけ泡立ちが良い商品で洗浄することで摩擦を減らすことが可能です。豊かな泡がスポンジとボディの間でクッションの役割を果たし、残存する微細な黄砂による傷を防ぎます。
選び方のポイント3:コーティング車への対応
ガラスコーティングやポリマーコーティングを施工している車には、必ずコーティング車専用のカーシャンプーを選びましょう。通常のカーシャンプーに含まれるコンパウンド(研磨剤)や強い洗浄成分は、コーティング被膜を剥がしたり劣化させる可能性があります。
コーティング車専用シャンプーの特徴:
選び方のポイント4:希釈タイプか原液タイプか
希釈タイプ(濃縮タイプ):
原液タイプ:
黄砂の時期は洗車頻度が増えるため、希釈タイプの方が経済的でおすすめです。
選び方のポイント5:泡切れの良さ
泡立ちの良さだけでなく、泡切れの良さも重要です。カーシャンプーの成分がボディに残留すると、それ自体がシミの原因になります。すすぎ時間を短縮でき、水滴の残留も防げる泡切れの良い製品を選びましょう。
黄砂からボディを守る予防策
対策1:ガラスコーティングの施工
ガラスコーティングを施工すれば、塗装の表面にガラス質の被膜を形成するため、塗装と黄砂の物理的な接触を防止できる。特に黄砂による傷は擦れてもガラス被膜に傷がつくだけで済むという大きなメリットがあります。また、コーティング被膜があることで、付着した黄砂が洗車時に落としやすくなる効果もあります。
対策2:こまめな洗車習慣
黄砂の時期は普段より洗車頻度を増やすことが大切。洗車頻度は週1回が目安です。また、雨が降った後は早めに洗車を行いましょう。
対策3:屋内保管またはカーカバー
可能であれば、ガレージなどの屋内で保管することで、駐車中の黄砂付着を物理的に防止できます。カーカバーを使用する場合は、裏起毛タイプを選ぶとボディとの擦れによる傷を防げます。ただし、黄砂が付着した状態でカバーをかけると傷の原因になるため、必ず洗車後に使用してください。
対策4:プロテクションフィルム(保護フィルム)
プロテクションフィルムは、塗装面にスマホの保護フィルムのような厚いフィルムを貼り付ける技術で、擦れ傷やシミの付着などあらゆる外的要因から塗装面を強固に保護できます。
施工費用は高額ですが、長期的に愛車を完璧な状態で保ちたい方には最良の選択肢です。
洗車のベストタイミング
洗車をするうえで、ベストなタイミングはいつでしょうか? 黄砂が飛来した後に雨が降ってしまうと、ボディが汚れるだけでなく、こびりついてしまう場合もあります。
時期的なタイミング
時間帯と天候
洗車に最適な時間帯は15〜16時頃。昼間は気温の上昇により水垢が発生しやすくなるため、快晴の日の正午は避けるのが賢明です。洗車を行うタイミングは、風が弱い日や黄砂の飛散が少ない日が適しているため、天気予報で黄砂情報を確認してから作業日を決めましょう。
気象予報を活用する
気象庁1や民間の気象会社が黄砂の予報を公開しています。天気予報と合わせて利用すれば、洗車のタイミングを判断できるでしょう。
まとめ:黄砂対策は予防と早めの対応がカギ
黄砂は単なる汚れではなく、車の塗装面に深刻なダメージを与える可能性がある厄介な存在です。しかし、正しい知識と適切な対処法を実践することで、その被害を最小限に抑えることができます。
黄砂対策の要点:
春先の黄砂シーズンは、愛車のメンテナンスに特に注意が必要な時期です。この記事で紹介した知識と技術を活用し、大切な愛車を黄砂の被害から守りましょう。定期的な洗車とコーティングメンテナンスを習慣化することで、塗装面の美しさと価値を長期間保つことができます。
