Renoca by FLEXRenoca by FLEX

2019.9.2

ファミリーで挑む『ファミリーアドベンチャー』

【Vol.7】ファミリーで挑む『ファミリーアドベンチャー』

2019.9.2

連載:Renoca Adventure

家族が一丸となって課題に挑む、アドベンチャーレースイベント!

家族が一丸となって課題に挑む『ファミリーアドベンチャー(以下:ファミアド)』。参加家族(チーム)は20チーム限定だ。チーム構成のルールは、小学生が1名以上と二十歳以上の大人も1名以上で構成される2~5名のチーム。おじいちゃん、おばあちゃん、未就学児、お隣さん、お友達などなど、誰と組んでもOK。アウトドアに精通したスタッフが、わからない部分はアシストするのでアウトドア初心者も大歓迎だ。 メニューはトレイルラン、ウォーターアクティビティ、クラフト、アウトドアクッキング、肝試し、ドラム缶風呂、オリエンテーリングとなる。その他にもテント張りや薪割り、火起こしなど、開催中の2日間はめいっぱいやることだらけだ。

競技だからこそできること

ファミアドを企画した時、あるイベント会社の人にこういわれた。「このボリュームは無理です。普通はこの内容のひとつを一日かけてやります」と。
しかし、それだと一般的なキャンプイベントになってしまう。僕たちがやりたいのはキャンプイベントではなく、アドベンチャーレースイベントなのだ。そう、競技なのである。
順位を競うことで子どもたちは本気になるし、嬉しい想いも、悔しい想いもする。また、ファミリーという小社会の中でチームワークの大切さも学べる。 僕たちは、アウトドアに精通した人たちにスタッフをやって欲しいと声をかけ、精鋭たちと共にこのイベントを創り出した。スタッフは準備から片づけまでそつなくこなし、参加してくれたチームもそれぞれが全力で盛り上がる。
こうして「無理」といわれたイベントをやり遂げた。そこから導き出した答えは「無理ではない」ということだった。むしろ競技であることからタイムを競うため、各アクティビティは予定通り終わり、参加チームは休憩時間も取れる。さらに、子どもたちは競技とは別にサッカーなどをして遊べるし、参加してくれた家族同士で交流する時間も確保できた。競い合いの中の休息は、イベント全体を温かい空間に仕上げていた。

競技だからこそできること

非日常的なことにチャレンジ

非日常的なことにチャレンジ

ファミアドの課題には、子どもにとってはハードなものもある。その中のひとつが木登りだ。木の上の鐘を鳴らすという課題で、子どもたちは自分の力で巨木にしがみつき、鐘のあるてっぺんを目指して登らなくてはならない。もちろん技術をもっているスタッフが安全確保をしているが、途中で怖くなって泣き出してしまう子もいる。
しかし不思議なことに多くの子どもはあきらめない。どんなに怖くても自分が鐘を鳴らさなければチームの得点にならないことを自覚しているのだ。だから泣きながらも、途中で止まりながらも、木の上の鐘を目指す。
「ほら、がんばって! 足をそこに掛けて!!」と最初は熱をもって指導していた親も、次第に声が出なくなり、やがて子どもが自力で頑張る姿をただただ見守る。そんな瞬間はなんだか深く胸を打たれる。そこには宇宙に匹敵する大きな愛情の存在を感じるのだ。子どもたちは、そんな親の愛情に包れていることをしっかりと感じとっているのかもしれない。

一体感

今年はイベント開催前からトラブルだらけだった。イベント前に僕が靭帯を断裂し、日程の都合がつかないスタッフは激増、そして当日は会場のヒューズが飛んで緊急工事……。予定が押していくのは必至だった。そこでファミアドのプロデューサーである竹内(普段はイーストウインドのチームマネジメント)がこう切り出した。
「今回はトラブルが続出しています。だからスタッフの手が足りていません。そこで参加チームの皆様にお願いがあります。ファミアドに何度か出場されているお友達は半スタッフに任命します。どうか私たち運営スタッフを助けてください。初めて参加するお友達に色々と教えてあげてください」と。
参加者をスタッフにするとは何事だ! とクレームが入ってもおかしくない状況だが、そこからスケジュールが一変した。子どもたちは暇があると運営スタッフに駆け寄り、「お手伝いすることある?」と聞きに来てくれた。大人たちは、アクティビティが終了すると当たり前のように片付けを手伝ってくれた。しかも、どの顔を見ても楽しそうだ。気が付くとスケジュールはどんどん前倒しに。これこそファミアドが生み出した一体感だと感じた。スタッフも参加者も、みんなで作り上げるイベントに育った瞬間だった。

一体感

アウトドアは……。

そんなファミリーアドベンチャーは今年で10年目になった。口コミで徐々に広がり、今ではエントリー開始から数日で定数に達するまでに成長した。スーパーリピーターも多く、毎年参加してくれる子どもたちは、1年に1度のファミアドファミリーとの再会をとても喜んでくれる。また、ファミアドで知り合った家族が一緒に釣りに行ったり、キャンプに行ったりもしているそうだ。
「アウトドアは人を解放する」というが、僕はこうも考える「アウトドアは、人と人を結ぶ」と。ファミアドを終えて思うのだ。
レースもいいが、たまには外遊びの道具と、キャンプ用品と、クッキングツールと、最高の仲間と一緒に、アウトドアに出かけてみようかなと。

田中正人さん

著者:田中 正人TANAKA MASATO

1993年第1回日本山岳耐久レースで優勝し、それがイベントプロデューサーの目に留まり、レイドゴロワーズ・ボルネオ大会に間寛平チームとして出場。日本人初完走を果たす。 以降、8年間勤めた化学会社を辞め、プロアドベンチャーレーサーに転向。数々の海外レースで実績を作り、国内第一人者となる。
現在、海外レースに出場する一方で、国内イベントの企画、運営及び講習会や、若手育成、アウトドアスポーツの普及振興にも携わる。また、自身の経験を活かし「人間が学ぶものは全て自然の中にある」をテーマに全国で講演を展開する。