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【最新版】トヨタ ランドクルーザー70:ランクル史上初のワゴン

ランドクルーザー70ワゴン

概要

後のランドクルーザー プラドの前身モデル

ランドクルーザー史上初となるワゴン登録(5ナンバー)モデルが登場したのは1985年のことでした。海外仕様では前年の1984年11月に「ランドクルーザーⅡ」「バンデラ」等のモデル名で既に輸出が開始されていましたが、国内デビューは1年遅れとなっています。

外観はランドクルーザー70系バンのヘビーデューティなイメージのまま、サスペンションがコイル化され、主にオンロードでの乗り心地改善が図られたこのモデルは「ランドクルーザーワゴン(型式はLJ71G)」と命名され、後のプラドの前身となりました。

人気のランドクルーザー70

エンジン&バリエーション

標準グレードでも装備は充実

エンジンは最高出力85PS(NET)/最大トルク19.2kgmを発生する2.4リッター直列4気筒OHCディーゼルターボの2L-T型を搭載。トランスミッションは5速マニュアル、トランスファーはローレンジを備える2速仕様でした。ボディバリエーションは2ドア・ショート(リアゲートが左右開きの観音扉であるため「3ドア」扱いではない)のみ。グレードは標準のLX5と、上級のSX5の2タイプが設定され、SX5には「マルチアジャスタブルスポーツシート」や「ワンタッチ機構付きパワーウインドゥ」などが標準装備されました。

また、標準グレードであるLX5にも、リアシートにリクライニング機構や、ステアリングにチルト機構が備わるなど、バンとの差別化が施されていました。つまり、それまでクロスカントリー4WDの世界では一般的でなかった上級装備により、快適さをアピールしていたのです。また、5ナンバー車には車検期間や、地域によっては駐車場での規制など、バン登録車より有利な面が多くあったのです。

エクステリア&インテリア

ゆったりとしたリアシートの快適さに注目

エクステリアでは、フロントのウインカー&車幅灯が独立しているバンに対し、ワゴンではそれらが一体化したフロントグリルまわりとなっており、ややスマートにデザイン処理はされているものの、大きな違いはなく、インテリアも基本デザインはバンと同一となっています。一方、インテリア面では、一定のラゲッジルームを確保しなければならないバンに較べ、その規制の無いワゴンには、リアシートにゆったりとした足元スペースやリクライニング機構が与えられており、快適さでは大きなアドバンテージがありました。

シャーシ

国産4WD初の足回りを採用

当時のコアなランドクルーザー・ファンや4WDファンたちは、ワゴンとしての装備や快適性よりも、国産四駆初のコイルスプリング+リジッドアクスル式サスペンションの走破性に注目しました。しかし、伝統的なリーフスプリング+リジッドアクスル式の70系バンには及ばず、クロスカントリー性能の評価はけっして高くありませんでした。

総評

中古車が少ないレアなモデル

サスペンションの違い以外にバンと大きく異なる点は、ミドルホイールベース車(2,600mm)やFRPトップ車をラインナップしているバンに対し、ワゴンはショートホイールベース(2,310mm)のハードトップ車のみであること、オートマチック・トランスミッション車の設定が無いこと、等が挙げられます。また、バンのミドルホイールベース車には最高出力120PS(NET)/最大トルク29.0kgmを発生する3.4リッター直列4気筒OHVディーゼルターボの13B-T型エンジンが設定されており、ワゴンが搭載する2L-T型の非力イメージも、今ひとつ人気が出なかった理由のひとつと言えるでしょう。

ランドクルーザー史上初のワゴン登録車であり、現在では常識となったコイル・サスペンションをいち早く導入した、ある意味革新的なモデルであったにもかかわらず、販売していた5年間は不人気車のレッテルを貼られてしまったランドクルーザー70ワゴン。しかし、後に大ヒットするプラド誕生の足がかりとなる重要な役割を背負ったモデルですし、中古車が非常に少ないため、稀少なモデルとなっています。

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執筆者

武内 祐徳(たけうち ひろのり)
モトクロス/エンデューロなどダート系2輪レース参戦を趣味としており、マシンを運ぶためのトランスポーターとしてハイエースを所有。学生時代に建築を学んできた知識を活かし、自らハイエースの内装カスタムなども手掛ける。ハイエースやランクルの素晴らしさを多くの人に知ってほしいと自動車ウェブメディアの編集者へ転身。得意な車種はハイエース/ランドクルーザー/ロードスター/ジムニーなど。