Renoca by FLEXRenoca by FLEX

2021.4.23

adventure43_0

【Vol.43】チーム競技の魅力

2021.4.23

連載:Renoca Adventure

チーム競技なんて大っ嫌いだ!

僕は子どもの頃から自己主張が強く、協調性がなかった。
自分が論理的に考えた意見には絶対的な正しさと自信があり、意見の対立があっても相手を言い負かすことが多かった。
相手の意見に納得すれば、受け入れる素直さはあったつもりだが、そこに至るまでの議論を避ける人が圧倒的に多かった。
当然、敵を多く作るタイプだったが、人に嫌われるとか、仲間外れにされることはぜんぜん平気だった。
強い人間は一人でも生きていけるとうそぶいていた。
そんな人間だったので、スポーツにおいてもチーム競技は大の苦手だった。

チーム競技なんて大っ嫌いだ!

アドベンチャーレースは究極のチーム競技!

アドベンチャーレースは究極のチーム競技!

そんな僕がアドベンチャーレースの元祖「レイド・ゴロワーズ」に、タレントの間寛平チームの一員として出場した。
しかも実質のリーダーとしてチームを引っ張った。
「なんでできない!」「こんなんで目標が達成できるのか!」「もっと頑張れるだろ!!」などの言動を連発させ、初体験のレースながら、世界最高峰のアドベンチャーレースで日本人初完走という目標を達成できた。
しかしながら、人に寄り添う言動をまったくせずに追い込んでしまったため、女性メンバーはレース中に発狂したように精神が錯乱したし、間寛平さんは円形脱毛症になってしまった。
さすがの僕もこれには参った。
自分の人間性の低さに打ちのめされ、自分の人間性が顕著に表出されるアドベンチャーレースに、逆に魅了されてしまったのだ。
翌年には、8年勤めた会社を辞めてプロアドベンチャーレーサーを名乗り、今に至っている。

自分の人間性を客観的に見ようとするならば、鏡に映し出さなければならない。
その鏡になるのが、人との真剣なぶつかり合いなのである。
極限下では自分の本性がさらけ出され、価値観の違う他人とぶつかり合うことが必然となる。
その中で折り合いをつけなければ、レースは続行できない。
人と戦うのではなく、自分と闘うのがチーム競技だと、このレースから教わった。
他人を変えようとするのではなく、自分を変革しなければ、物事が思うように進まない。
アドベンチャーレースはチーム競技であるからこそ、人の成長につながるおもしろさがあるのだ。
もう27年間もレースを続けているが、今も個性豊かなチームメンバーによって学ばされている。
僕の人間性の成長の余地が有りまくるので、いつまで経ってもこのレースはおもしろくて止められない!!

いつまで経ってもこのレースはおもしろくて止められない!!
田中正人さん

著者:田中 正人TANAKA MASATO

1993年第1回日本山岳耐久レースで優勝し、それがイベントプロデューサーの目に留まり、レイドゴロワーズ・ボルネオ大会に間寛平チームとして出場。日本人初完走を果たす。 以降、8年間勤めた化学会社を辞め、プロアドベンチャーレーサーに転向。数々の海外レースで実績を作り、国内第一人者となる。
現在、海外レースに出場する一方で、国内イベントの企画、運営及び講習会や、若手育成、アウトドアスポーツの普及振興にも携わる。また、自身の経験を活かし「人間が学ぶものは全て自然の中にある」をテーマに全国で講演を展開する。