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2021.5.5

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【Vol.44】凡人でもチャレンジできる

2021.5.5

連載:Renoca Adventure

アドベンチャーレースは間違いなく過酷な競技だ

数百kmを昼夜問わず厳しい自然環境の中に身を置き、走り続け、極限まで追い込まれる。
疲労、睡魔、不調などでメンタルが削られ、更にその極限状態の時間に、チームメンバーという他人が介入する。
もちろんチームメンバーは仲間であり、状況を打開する重要な要素となる。
だが、意見やコンディションのズレから、自身もしくはチームにとって予想外の影響が付加される要素にもなり得るのだ。
アドベンチャーレースは、個人競技と違って片時もチームメンバーが離れない特殊な状況下に置かれ、選手は自身の本当の人間性を強制的に試されることになる。

僕は凡人だ

僕は凡人だ

僕はアドベンチャーレースが競技性だけでなく人間性が試される極限のレースという印象を持っている。それは、チーム・イーストウインドに入る前も今も変わっていない。
アドベンチャーレースに出場し続けている選手達は本当にすごいと思うし、尊敬している。
皆チャレンジングで輝いて見えるし、常に前を向いている。
そんな人間は、本当は世界に一握りしかいないということも薄々気づいている。
だが僕は、アドベンチャーレースは凡人でもチャレンジできるものだと考えている。だから凡人の僕が、誰でもチャレンジできることを証明したいと思っている。

凡人のコンプレックス

僕にはふたつ上の超優秀な姉がいる。 そんな姉の存在にコンプレックスを抱えながら子供時代を過ごした。
勉強はそこそで、偏差値は50くらい。 運動もそこそこで上位に食い込んだことはないけど、苦手ではない。
いくつか習い事をしてみたが、どれも長くは続かなかった。
唯一続いたといえるのは、中高6年間続けたサッカーくらいだろうか。 だが、記録が付くようなものは残せていない。
ひとりで遊ぶことが好きで人見知りだ。
他人よりも少し身長が高いくらいの凡庸で人見知りな僕は、誇れるものが欲しかったんだと思う。
だから人生一大決心で、チーム・イーストウインドに連絡を入れた。しかし、僕に根ざす恥ずかしさからなのか、チームに送る履歴書にそんな赤裸々なことは書けなかった。

才能は必要じゃない。

才能は必要じゃない。

チームに合流して1月半が経った頃、僕は世界のレースに参戦していた。
結果として自慢できる順位ではなかったが、そんな中でもチーム全員が前を向いて世界の強豪選手を相手に闘う場面があった。
この時の感覚はいまだにはっきりと覚えている。
自信がなく引っ込み思案で卑屈だった僕が、世界を舞台にレースをしている。
外国チームに勝とうと前に走り続けているのだ。
この世界に飛び込んでよかった。チャレンジしてよかった。そう思える瞬間だった。

僕は凡人だ。
でも、世界のレースで戦っている。
その目標を自分の手で掴み取るために小さな一歩で踏み出すことができた。
そのおかげで、「チャレンジに才能は必要ない」ということを知った。
僕はこれからもそれを証明していくつもりだ。
そしてこの先誰かが、何かにチャレンジするきっかけになれたなら、僕は人生の答えを見つけられるかもしれない。

米元 瑛さん

著者:米元 瑛YONEMOTO AKIRA

通称ヨネ。幼少期から登山を始め、大学時代は探検部でラフティングに没頭。子どもの頃に観たアドベンチャーレースに憧れ、イーストウインドのトレーニング生となる。明るい性格と若い力でチームを盛り上げる。現在はカッパクラブでリバー技術を学びながら、世界レースの舞台でナンバーワンになるための修練に日々励む。