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2021.6.30

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【Vol.48】アドベンチャーレースって日本人向き?

2021.6.30

連載:Renoca Adventure

日本人向きではない!

アドベンチャーレースはトライアスロンのように多種目競技であるが、トライアスロンのように3種目だけということはなくアウトドアスポーツ種目の全てが入ると言ってもいい。
それを極めるのは10年あっても足りないくらいだ。
日本人は一つのことを極めるのが美徳とされる傾向があり、あれもこれも広く浅くやらなければならないのは中途半端感があり評価されにくいかもしれない。
しかも競技としてはルールも曖昧で国際的に統一されることもないだろう。
また自然の中では予想外のことが起きやすく、どのチームにも競技的に公平な条件は作れない。

日本人向きではない!
日本人向きではない!

ではどんな人がやっているのだろうか?
私が今まで見てきた選手たちは、好奇心が旺盛で決断力と行動力、そして責任感が強くてポジティブ思考の人が多い。
レースでは理不尽なことも多く起こり、残念がったり失望したり怒り出してもおかしくないが、文句を言っても状況が改善されることはない。
このレースに競技性を求める人は腹を立てて怒り出すに違いない。

日本人もアドベンチャーレースをやろう!!

レースではチームにいろいろな困難が降りかかるが、それに対してチームが一致団結して取り組まなければならない。
もう無理だと思った時点でレースは終わる。
皆で前向きに力を合わせていければレースは続けられる。
しかしながら困難に対しての取り組みでは、個人の価値観や人間性がチームに大きく影響する。
腹の底から納得できなければチームに亀裂が生じてくる。
個々人の考えや思いをさらけ出し、それを受け入れて一つの方向性にまとめなければチームの統一はあり得ない。
それがレースの結果に大きく作用する。
体力や技術を競う普通のスポーツとは大きく違う点だ。

日本人向きではない!
日本人向きではない!

人と本気でぶつかっていくことは、自分の人間性も浮き彫りになる。
普通の日本人はそこまでしない。
「個」を滅し「和」を大切にするからだ。
しなしながら困難に打ち勝つチームでは、「個」を尊重して活かしていく。
一旦は「個」を主張することで険悪な状況になるかもしれないが、相手を尊重するという基本ができていれば、信頼し受け入れ合うことができる。
そうして一致団結したチームには主体性と責任感が生まれ、文句や不満を言う人がいなくなる。
降りかかる困難に文句や不満を言うチームでは何ら問題解決にならず、ゴールが遠のいていくばかりになる。
日本人に求められているのはそういうところなのかもしれないと感じる昨今である。

田中正人さん

著者:田中 正人TANAKA MASATO

1993年第1回日本山岳耐久レースで優勝し、それがイベントプロデューサーの目に留まり、レイドゴロワーズ・ボルネオ大会に間寛平チームとして出場。日本人初完走を果たす。 以降、8年間勤めた化学会社を辞め、プロアドベンチャーレーサーに転向。数々の海外レースで実績を作り、国内第一人者となる。
現在、海外レースに出場する一方で、国内イベントの企画、運営及び講習会や、若手育成、アウトドアスポーツの普及振興にも携わる。また、自身の経験を活かし「人間が学ぶものは全て自然の中にある」をテーマに全国で講演を展開する。