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【知ってお得】トヨタ ランクル70:再販モデルと旧モデルの違いとは?

トヨタ ランドクルーザー70  再販モデルと旧モデルの違い

2023年中に再販されるとの噂が再び出てきたランクル70。その前にオリジナルのモデルと2014年に限定で再販された30周年記念モデルのランクル70再販モデルの違いを改めておさらいしておきましょう。今のランクルにはない、質実剛健すぎるオリジナルと、少しだけ近代化された2014年の再販モデルを振り返りつつ、再び販売されるかもしれないランクル70の登場を楽しみに待ちましょう。

ランドクルーザー70再販モデル 変わらない良さと進化した点

ランドクルーザー70バンは働くクルマとして1951年に誕生した初代ランドクルーザーの直系と言えるモデルです。ランドクルーザー200につながるランドクルーザー60ランドクルーザー80とは違い、レジャーなどファミリーユースに適応するゆったりとした室内や3列シートを持たず、ランドクルーザープラドシリーズとも違ってライトな仕様は皆無。トラックのような平板なボディとディーゼルだけのエンジンを持ち、2列目シートをたたむとさらに拡大する広い荷室を備えて最大積載量(350kg、500kg)を誇示する貨物車登録のランドクルーザーでした。そんな実用一点張りのランドクルーザー70バンが日本の変わりゆく4WD市場で2004年に販売終了したことは、ある意味必然だったといえるでしょう。

しかしながら、それから10年を経て2014年に登場したランドクルーザー70誕生30周年記念限定の再販モデルは、ランドクルーザー70としての基本部分は何ひとつ変わっていません。目新しい点はエンジンとボディバリエーションだけと言ってもいいぐらいです。ランドクルーザー70用のディーゼルエンジンには日本の排気ガス基準をクリアした機種がない等の理由によってガソリンエンジンが選ばれ、働くクルマとしてのランドクルーザーを望む市場向けの車型を加えたラインナップというわけです。それではランドクルーザー70バンの旧モデルと再販モデルの違いについて探っていきましょう。

人気のランドクルーザー70

日本初の4ドアロングはWキャブだった

旧型となるランドクルーザー70バンは1984年11月~2004年7月の20年にわたって販売されました。そのボディ形式は大別してホイールベースから異なる3種類があり、一般的に2ドアショート(幌ソフトトップ/ハードトップ)、2ドアミドル(FRPトップ)、4ドアセミロング(ハードトップ)とそれぞれ呼ばれています。

これに対し、2014年8月~2015年6月の期間限定で再販された新型70は、4ドアセミロングのバンと4ドアロングのWキャブ(キャビン(客室)が2列以上ある車を指す言葉。70バンではシートが2列あることを意味します)という2つのボディ(ともに1ナンバー車)となりました。

4ドアセミロングは基本的に新旧で同じですが、Wキャブは形も長さも日本仕様では初めてのスタイルです。Wキャブのホイールベースは4ドアセミロングより450mmも長い3,180mmで、ボディ全体では460mmのロングとなる5,270mmです。長いフレームに載るボディはフロントバンパーからリアシート後部までのキャビン部分が4ドアセミロングと同じ構造で、その後ろはトラックならではのベッド(荷台)となっています。4ドアセミロングではリアドア下端の後部に食い込むように位置していたリアタイヤが、Wキャブでは完全にキャビンから離れた位置にあることで長さの違いがよくわかるでしょう。

このWキャブはほぼ事業者向けとしてラインナップされたもので、長いボディのおかげで最小回転半径は一般的な自家用車ではありえないほど大きい7.2m。4ドアセミロングの同数値も6.3mと決して小回りがきくボディではありませんが、特に市街に住むファンにとって再販モデルのWキャブは、ユーザーになるのにはかなりハードルが高いクルマと言えるでしょう。

狭い道路で体感する新旧マスクの違い

新旧のランドクルーザー70で外観上の大きな違いがマスクです。旧型ランドクルーザー70はランドクルーザー40のアイデンティティを受け継いだ幅の狭い小顔で、フロントフェンダーがボディから大きく張り出しています。対する再販モデルのランドクルーザー70はボディ幅いっぱいのワイドマスクでフロントフェンダーはボディから独立していません。

違いは一目瞭然ですが、これは単なるイメージチェンジを狙ったものではなく、V6やV8といった横幅の広いエンジンを載せるためにエンジンルームを拡大した結果のデザインです。旧型のランドクルーザー70バンには海外仕様を含めてガソリンもディーゼルも直列エンジンのみの搭載でした。再販モデルのランドクルーザー70にはV6ガソリンエンジンが載っていますが、海外仕様には直列ディーゼルエンジンに加えて2007年に新搭載となった4.5リッターのV8ディーゼルターボモデルも設定されています。

こうしたマスクの違いはボディサイズに変化をもたらさなかったものの、運転席からの見切りの良し悪しや車幅感覚には少なからず好影響がありました。旧型ランドクルーザー70バンではフロントフェンダーがよく見えない上にボンネットが台形です。再販モデルではボディフロントが切り立ったスクエア形状なので見切りが良いというわけです。市街の狭い通りはもちろん、ステアリング操作に神経質になるオフロードにおいても、ランドクルーザー70の再販モデルは車幅感覚がつかみやすくなっているのです。

再販モデルのランドクルーザー70は新ガソリンエンジン採用で全国で登録可能

ボンネットの幅を広げマスクを変えるに至らしめたV型エンジンの搭載。そんな再販モデルのランドクルーザー70に載ったのは1GR-FE型と呼ばれるトヨタ最新の4リッターV6ガソリンエンジンです。このV6エンジンはFJクルーザーランドクルーザー150プラドのほか、海外では4ランナーやタコマ、タンドラなどにも搭載されているとてもデキの良い機種です。

1気筒あたり4つの吸排気バルブを持つコンパクトなシリンダーヘッドを備えたDOHCで、シリンダーは内径94mm×行程95mmとしたスクエアストロークとしています。吸気側バルブ(150プラドやFJクルーザーでは吸排気バルブ両方)の開閉タイミングをエンジンの状況によって変えることができるのも大きな特徴で、これらはすべて最高回転やピークパワーより中低速回転域のトルクを重視し、SUVのエンジンとしてふさわしい動力性能を得るためのものです。

一方旧型ランドクルーザー70バンの4.2リッター直6ディーゼルエンジンはノンターボ仕様で低速回転域のトルクはとても頼もしいものです。1GR-FE型はガソリンエンジンでそのディーゼルエンジンと同等以上の性能を引き出せるようにしています。

再販モデルのトランスミッションは5速のマニュアルのみで、旧型のディーゼルエンジンよりクラッチミートに少々気をつかうものの低速回転域からトルク感では負けていません。「ガソリンエンジンだからトルクが細いのでは?」との先入観を持つファンもいるかもしれませんが、運転すると力強さを感じるトルクバンド(回転域)がディーゼルエンジン以上に幅広く、走り全般で扱いやすいことに気づくでしょう。

同形式のサスペンションでもWキャブで目減りするストローク量

ランドクルーザー70再販モデルのサスペンションは基本的に旧型ランドクルーザー70(後期)と同じものです。前後ともランドクルーザー伝統のリジッドアクスルとしていて、スプリングはフロントがコイル、リアはリーフとなっています。

搭載エンジンの違いでスプリングのセッティングは異なり、格段に軽量なV6ガソリンエンジンを積んだ再販モデルの方が負担が少ない分、動きが柔軟で乗り心地の良さを体感できる仕様です。ハンドリングも軽快さがあるので、特に荒れたオフロードや郊外のワインディング路では旧型より再販モデルの方が現代の4WDらしい快適さを感じるはず。

ただし、オフロードを走る上で大切なサスペンションのストロークでは旧型に分がありそうです。特にWキャブはホイールベースが長い上に、荷物の積載を強く意識した硬めのサスペンションセッティングとなっています。そのため、空荷の場合は特にリアが跳ね気味になって落ちつかず、ストローク量が少ないのでオフロードでは走りにくくなりがち。このような状態では乗り心地もあまり良くありません。

4WDの中でもランドクルーザー70では特に言えることですが、サスペンションが良く動いてタイヤがしっかり路面を捉えるには、ある程度の荷重がサスペンションにかかっている方が都合がいいのです。そう考えていくと、あくまでもノーマル状態の話ですが、オフロードで良く走るのは旧型、オンロードでより快適なのは再販モデルのランドクルーザー70と言えるかもしれません。

インパネはスパルタンから安全性重視へと変化

ランドクルーザー70ではどうしてもランドクルーザーの本質であるフレームやボディの堅牢さやサスペンションの確かな働きなどに目が行きがちですが、旧型と再販モデルのランドクルーザー70ではインテリアにも違いがあります。実用車ですから、どちらにも高級装備や気の利いたデコレーションはありませんが、再販モデルでは安全対策が進んだことによるインパネの大幅なデザイン変更がありました。

比べてみると一目瞭然です。オーディオやエアコンの操作系、エアコンの吹き出し口の配置などは似ていますが、旧型は一部スチール材が残る角のあるデザインで、再販モデルは全面が樹脂で構成され丸みを帯びたデザインになっています。これは衝突時などに乗員を保護するための安全対策です。体がぶつかってもケガをしにくいようにとの配慮なのです。

旧型ではグローブボックスのフタがスチール製だったり助手席側の前にアシストグリップが付いていたりと本格4WDとしてのスパルタンな要素が盛り込まれていましたが、再販モデルではグローブボックスの上部には助手席エアバッグが内蔵されるなど安全面で大きく進化しているのです。

さらに、インパネのセンター部分が独立して上方へボリュームアップしているのは、衝突時のクッション性とともにナビやオーディオの視認性や操作性の改善を図ったもの。運転中の視線移動も少なく済むことで、さらに安全性を高めているというわけです。時代の変化といえばそれまでですが、旧型ランドクルーザー70バンにあったスパルタンなイメージは安全性と引き換えに再販モデルでは影を潜めたということになります。

カスタムの楽しさは旧型も再販モデルのランドクルーザー70も同じ

ランドクルーザー70のカスタムで代表的なのは、リフトアップによるオフロードスタイルです。リジッドアクスルを前後に備えるサスペンションだからこそ、最新のランドクルーザーでは難しいレベルのリフトアップが容易です。

フロントサスペンションをダブルウィッシュボーン式とする独立懸架ではスプリング交換によるリフトアップ量を2インチ(約5cm)までとするのが一般的ですが、ランドクルーザー70ではパーツの組み合わせを工夫すればそれ以上のリフトアップも楽しめるというわけです。

リフトアップ量に応じたタイヤ大径化の自由度も高く、マルチパーパスなオールテレーンタイプからアグレッシブなトレッドパターンのマッド系タイヤまで、各タイヤメーカーの中からお気に入りを見つけるのは容易です。

こうしたランドクルーザー70のフレキシブルなカスタム環境の充実度は旧型も再販モデルもほぼ同じ。グローバル4WDだからパーツの種類は国内外メーカーともに豊富なこともランドクルーザー70の高い人気の理由と言えるでしょう。

中古車市場に増えてきた再販モデルに人気集中

中古車市場におけるランドクルーザー70バンの人気は今も衰えていません。特にフロントサスペンションがリーフスプリングから現行スタイルのコイルスプリングに変わった1999年以降のモデルは、比較的台数も多く人気が集中していて価格に大きな落ち込みがないのが実情です。

また、2014年に登場した再販モデルのランドクルーザー70は依然として人気があり、コンディションの良いものは値落ちがしないケースも珍しくありません。人気が価格を決定する中古車ですが、ランドクルーザー70の場合はカスタムされたモデルが多いことに加え、FLEXではボディ塗装を含めてトータルで組み直されるカスタム車を多数扱っています。カスタムを含めれば価格以上の価値があるお買い得車が多いのです。

一般的な乗用車と違ってトヨタの中でも特別な“ランドクルーザー基準”で作られているタフネス4WDのランドクルーザー。その中でも特に丈夫で長持ちなのがランドクルーザー70です。輸入パーツを含めてカスタム環境がとても充実していることもあり、ちょっと古いランドクルーザー70を購入しても長く楽しめるのは何よりファンにはありがたいことと言えるでしょう。

ランドクルーザー70 オススメの中古車在庫

執筆者

武内 祐徳(たけうち ひろのり)
モトクロス/エンデューロなどダート系2輪レース参戦を趣味としており、マシンを運ぶためのトランスポーターとしてハイエースを所有。学生時代に建築を学んできた知識を活かし、自らハイエースの内装カスタムなども手掛ける。ハイエースやランクルの素晴らしさを多くの人に知ってほしいと自動車ウェブメディアの編集者へ転身。得意な車種はハイエース/ランドクルーザー/ロードスター/ジムニーなど。