アジアクロスカントリーラリー2025:心の炎を灯し続けて駆け抜けた9日間、3250kmの過酷なレースを振り返ります | フレックス

アジアクロスカントリーラリー2025:心の炎を灯し続けて駆け抜けた9日間、3250kmの過酷なレースを振り返ります

ランドクルーザーの記事|,,,,

  • 投稿日:2025/9/2
  • 更新日:2025/9/2
AXCR2025 e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES

30周年記念大会はこれまでにない過酷なラリーに

AXCR2025 e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES LEG0

8月8日から16日にかけてタイで開催された「アジアクロスカントリーラリー(AXCR)2025・30周年記念大会」。この過酷なレースで見せられたのは、単なる順位以上の価値ある戦いでした。俳優・哀川翔氏が総監督を務める「e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」1の山崎元彰/中田昌美組が、トヨタ『ランドクルーザー150プラド・FLEX ラリーSPEC』で挑んだ9日間3250kmの挑戦は、まさに不屈の精神を体現したものでした。

序盤から心が折れても不思議ではない状況に

「心が折れても不思議ではない状況」という山崎選手の言葉が、このラリーの過酷さを端的に表しています。

LEG1(SS1:199.13km)はスタート順が後方という不利なポジションでしたが、V字型の穴の連続に悩まされつつも走りは好調。車両はダメージを負いつつ、前半を折り返しました。中間のPCサービスはわずか5分、修理はしたものの給油がままならず、そのまま後半へ。コース途中で前走車である130号車のスタックに巻き込まれ、救出などで大幅ロスし、さらにガス欠などもあってやむなくコースエスケープを選択。10時間のペナルティを受けてクラス5位となってしまいました。前半の走りがよかっただけに、この結果は残念。しかも、この時点で6本しかないスペアタイヤのうち1本を失った上に、強烈な泥でウインチも破損、そして翌朝まで続いた修復作業と、まさにラリーの洗礼でした。

しかし、チームの真価はここからの巻き返しにありました。LEG2(SS 177.85km)では高速セクションで持ち味を発揮し、ミスコースなくハイスピードを維持してクラストップタイムを記録、4位に浮上しました。このままいい調子で行けるのかと思いきや、再び試練が襲いかかってきます。

続くLEG3では、前半の過酷なロックセクションを数台の停車車両をかわしながらノーダメージで突破。素晴らしい調子で後半も! と思った矢先、スタート直後、チーム最大とも言える危機が訪れました。サスペンションが突然破損し走行不能となってしまったのです。

損傷部位は右ピロボールジョイントやアーム類、そしてドライブシャフトにまで及びました。流石に現地での修理は難しく、バンコクまで車両を運んで修理を行うことに。「心の炎を切らさずに」戦い続けることが問われる状況となりました。しかし、紛争地域に近い国境付近を走る予定になっていたLEG4とLEG6がコースキャンセルとなったことで、目標の見直しと車両コンディションの復旧時間を確保できたのがチームにとっては不幸中の幸いだったと言えるでしょう。

再三のトラブルに見舞われつつも見事に完走!

LEG5ではエンジントラブルに見舞われました。LEG3のサスペンション故障によりシュノーケルの連結部分が外れ、泥がエアクリーナーなどの吸気を完全に塞いでいたのです。そしてさらにチェックを進めた結果、プラグにも問題を発見。現地調達してなんとか復旧まで漕ぎ着けたのは、チームの経験とネットワークによるものです。山崎選手と中田選手は諦めませんでした。マシンの最高速が60km/hまで低下する中、粘り強く走り切りクラス2位タイムを獲得。

LEG7では迷いやすいルート構成の中、コ・ドライバー中田選手の的確な判断もあり、なんとクラス最速タイムをマーク。最終的にT1Gクラス4位でフィニッシュを果たしました。

サバイバルレースをチーム全員で駆け抜けた

今大会は44台中13台が10時間以上のペナルティを受け、終わってみれば完全完走を果たしたのはわずか4台という非常に過酷なレースでした。

ドライバーの山崎選手は、「我慢の連続でしたが、気持ちを立て直してなんとかフィニッシュできました。コドラの中田さんは、僕の気持ちが行き過ぎないように、完璧にコントロールしてくれました。参加車両や選手のレベルが上がってきている中で、勝つために必要なことが見えたラリーでした。ドライバーとして総合順位はこれまでで最も厳しい経験となりましたが、多くの学びを得ることができました。チームとしての存在感も示すことができたと思います」と過酷な9日間を振り返っていました。

AXCR2025 e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES

コ・ドライバーの中田選手は、「10年ぶりの参加で正直不安でいっぱいでしたが、昔からの仲間やチーム、そしてドライバーの山崎さんに支えられて、なんとかフィニッシュすることができました。皆さん、ありがとうございました。お疲れ様でした! 」とコメント。

AXCR2025 e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES

哀川翔総監督は、「自分も2011、2012、2018と経験しましたが、アジアンラリーは本当に過酷です。今年もいろいろなトラブルに遭いながら、よく頑張ってくれたと思います。ご支援、応援、ありがとうございました!」とねぎらいの言葉を掛けていました。

AXCR2025 e投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES

想像を超えるような極限状況でこそ、ドライバーとコ・ドライバー、マシン、そしてチームの真価が問われます。数々のトラブルを乗り越え、複数回のクラストップタイムを記録したe投票 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRESチームの戦いぶりは見事。心の炎を切らさずに得たクラス4位という結果は、順位以上の価値があるものでした。

FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES

次戦9月5日から7日の「RALLY HOKKAIDO」2での川畑真人選手/中谷篤選手による2023年以来のクラス優勝への挑戦も楽しみです。皆さんの熱い応援をお待ちしております!

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出典

  1. FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES【公式サイト】
  2. ラリー北海道 2025【公式サイト】

執筆者

熊崎 圭輔(くまさき けいすけ)
元輸入車カスタム雑誌の編集長。ドイツ語圏を中心にレンタカーで走り回った旅好き。その後MOTAに移籍。副編集長として、新型車をはじめクルマに関する記事制作に従事。国内外を問わずドレスアップやチューニングにまつわる取材経験から、MOTAカスタムの記事展開にも寄与。純正もいいが、カスタムすれば自分のクルマに対してさらに愛着が湧き、人とは違う個性的なクルマにすることで、人生がもっと楽しくなると考えている。

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